【イベントレポート】JSC
ワークショップNo.1
~初回商談における案件発掘~
目次
2024年2月6日〜2月7日にJapan Sales Collection 2024(以下JSC)が開催されました!
営業のプロフェッショナル4名に登壇いただいた会場限定ワークショップを、特別にイベントレポートとしてお届けします!
この記事はその第1弾で、TORiX株式会社 代表取締役 高橋浩一さんによる「初回商談における案件発掘」についてです。
登壇者プロフィール

TORiX株式会社 代表取締役 高橋 浩一
外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、アルー株式会社に創業参画。 2011年 営業の研修やコンサルティングを営むTORiX株式会社を設立。2019年『無敗営業』、翌年に続編となる『無敗営業 チーム戦略』を出版 、シリーズ累計7万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』、『気持ちよく人を動かす』、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法』を出版。
新規の初回商談でうまく案件化できない後輩。どうアドバイスする?

たとえば、営業チームの後輩から「新規の初回商談でうまく案件化できなくて困ってます」と相談されたとします。
あなたなら、どうアドバイスしますか?
実際にこの問いかけを営業パーソンにしたところ、次のような「アドバイスをする」という回答が多くあがりました。
「事前準備で仮説を考えよう」
「宿題をもらってネクストステップを握ろう」
「商品売りではなく課題解決を」
「そもそも商談するべきお客様と会えてる?」
これらは、営業パーソン視点でのアドバイスですが、お客様視点で考えてみるとどうでしょうか。
- この営業パーソンに会う価値があるのか
- 自分たちの課題に対してサービスが役に立ってくれそうか
などが、お客様による判断項目として考えられそうです。
そこで今回はお客様に「この営業を頼って具体的に相談したい」と思ってもらうための事前準備をテーマにお伝えしていきます。
初回アポイントにおけるお客様の期待とは
実際にTORiX株式会社で行った「営業担当者(営業パーソン)に会ってもいいと感じるのはどんなときか?」という調査結果(資料1)を見てみると、
- 提案される商材と、自社の課題がマッチしていること(課題解決)
- 商材の費用対効果が高いこと(費用対効果)
- 営業担当者の知識やスキルが優れていること(営業スキル)
この3つが上位になりました。
【資料1】

結果の通り、課題解決がトップにきているものの、お客様に課題を聞かない営業パーソンは今どきほとんどいないと思います。
お客様へ実施した「営業担当者があなたの会社のニーズや課題を聞いてきたとき、最も多い状況はどれですか?」という調査結果(資料2)によると、約86%のお客様は「自社のニーズや課題をよくわかっている」と回答しています。営業担当者へ正直にすべて伝えてくれる親切な方は意外と多く、約52%です。
【資料2】

一方で
- 自社が求めていることや目指している方向性
- 自分の会社が困っていることや悩んでいること
という項目(資料3)に対して営業パーソンのヒアリングが不十分だったと感じるお客様が多いという結果になっています。
【資料3】

多くのお客様が課題を理解しているにも関わらず、営業パーソンのヒアリングに不満を持っていることから、聞き方には改善の余地があるようです。
どうしたらお客様の期待に応えられる商談ができるのか、商談事前準備における5つのポイントをご紹介します。

商談事前準備における5つのポイント
①『不本意な現実』を考える
- お客様にとって『思うようにいかないこと』=『不本意なこと 』は何か?
- 『不本意なこと』が起きている原因は何か?
このような視点で課題を考え準備をし、商談に臨むようにしましょう。
そのうえで商談の場では「課題は何ですか?」ではなく、「思うようにいかないことは何ですか?」と尋ね方を工夫することで
「本当はこういうことがしたいんだけど、時間がなくてできてないんです。」
「お金がなくて現状のやり方をせざるを得ないんです。」
というように、より深い課題を聞けるのではないでしょうか。
このように仮説を立てておくこと、聞き方を工夫することでお客様の真の課題をヒアリングができるはずです。
② 『過去の打ち手』を探る
- お客様はその課題を解決するために、これまでどのような対策を行ってきたのか?
- その対策が効果を発揮しなかった理由は何か?
という視点で根っこにあるボトルネックを考えておきましょう。
きっと、すでに過去の対策がうまくいっているなら、新規商談は受けないはずです。
しかし商談を受けているお客様のなかで、約75%は判断基準が決まりきっていないことがわかります。(資料4)
【資料4】

このようなお客様に、判断基準を持ってもらうためには、具体的な何かを思い浮かべてもらうことがとても有効です。
特にお客様が過去に試した対策は一番確かなものです。商談の場で話に出すことで、お客様自身が具体的なビジョンを思い描きやすくなり、判断基準を固めることにも繋がります。
③『当社抜きのアクション』を考える
- 当社商品の話は脇において、お客様が成功するためにこの3ヵ月でやった方が良いアクションは何か?
- 例
- 1ヵ月目:現場から課題点についてヒアリングする
- 2ヵ月目:方針について経営陣との合意を取る
- 3ヵ月目:資料を作って社内に展開する
- 例
- それは根っこにあるボトルネックに引っかからずに、真の課題を解決できるものなのか?
お客様の課題解決といった視点での準備をしましょう。
お客様の課題をスタートとして、複数の解決策を提示したうえで
「弊社の商品を使えばより確実に解決につながります!」
「より費用対効果があがります!」
といったアプローチをすれば、お客様にもより耳を傾けてもらいやすくなるでしょう。
実際に「営業には課題・ニーズを少しはぐらかして伝える」と答えたお客様にその理由を質問(資料5)してみると、
- 強引に売り込まれるのを避けたいから
- 営業担当者のスキルを確かめたいから
という2つが上位になっていることからもわかるように、新規の初回商談はお客様との関係値がまだないために、どうしても警戒されてしまうものです。
売り込み感を減らすための工夫として、当社抜きのアクションを伝えることをおすすめします。
【資料5】
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④ 『買ってよかった瞬間』を考える
- 仮に当社商品を買っていただいた場合、「買ってよかった」とお客様が感じる瞬間は、具体的にいつ頃のどんな場面なのか?
- 例
- スピード・成功確率・効率がこう上がる
- コスト・負担・ストレスがこう軽減される
- 将来目指したいこのような姿が実現する
- 例
という観点で費用対効果について具体的なイメージを膨らませておきましょう。
なぜならお客様のなかには「本当に費用対効果はでるの?資料は都合よく見せてるだけでは?」と懐疑的な方もいるかもしれないからです。
費用対効果を判断するポイントを聞いた調査結果(資料6)では、「売上プラスやコストダウンの定量的な試算が成り立つか」という定量的な項目が最も票を集めました。
ここで注目したいのは、以下定性的な項目も上位になっている点です。
- 会社全体が成長する将来イメージが描けるか(成長イメージ)
- ミッション、ビジョンやパーパスの実現に役立つか(理想の実現)
- メンバーのストレスや心理的負担が改善されるか(負担軽減)
つまり抽象的な項目に対しても、どのようなインパクトを与えられるのか説明できることが大切です。
説明内容を信用してもらうために、買ってよかった瞬間を伝えられるようにしておきましよう。
【資料6】
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⑤ 『最悪の展開』を考える
- 当社商品をお客様へおすすめしたときに起こったら困る最悪な反応はなにか?
- 例
- すでに他社の商品に気持ちが傾いている
- 決裁者が価値を理解してくれない
- まったく予算が合わない
- 例
- その最悪な反応に対してどう対処するのか?
という観点でお客様の反応へ「悲観シナリオ対策」をしておきましょう。
イレギュラーな場合も慌てることなく対応できることは、営業パーソンとして差が出るポイントです。
実際に営業パーソン5,000人に行った調査結果(資料7)によると、パフォーマンスの高い営業パーソンは、イレギュラーな状況に対しても強いということがわかっています。
理想的な展開だけでなく、起きたら困ることという観点での準備も重要です。
【資料7】

次回は……
商談の事前準備は大切だとわかっていても、実際にどんな観点でなにを準備すればいいのか難しいと感じている営業パーソンは多いのではないでしょうか?(実際に私がそうでした……!)
顧客視点で準備するべきポイントを噛み砕いてみると、具体的なイメージを膨らますことができ、準備しやすくなりますね!
高橋さん、ありがとうございました!
次回は、営業×成果向上についてのレポートをお届けします。お楽しみに!