「問題」と「課題」の違い、答えられますか?
目次
ビジネスシーンで毎日のように飛び交う「問題」と「課題」という言葉。
あなたはこの2つの違いを説明できますか?
もしあなたが今説明できなくても大丈夫、この記事を読めば、もう一生「問題」と「課題」に迷わなくなります。
問題や課題の違いとは…?
みなさんは問題や課題と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか?
おそらく多くの方が、「解決すべきもの」「困っていること」「陥っている良くない状況」などのような単語が頭に浮かぶのではないでしょうか?
これ自体は決して間違いではありませんが、問題と課題が混在しており おそらく多くのケースで想像されやすいのは「問題」です。
実際に、「御社の課題はなんですか?」と質問すると「○○ができていないことですかね」という返事をもらうことが多いと思います。
では、問題と課題は同じものでしょうか?違うのでしょうか?
・・・これ、明確に答えられる人って実は10%もいないかもしれません。
ではこれを、ビジネス、特に営業シーンではこれをどう解釈すればいいのか?
結論から言うと・・・
問題とは、
現状と目標の乖離 (ギャップ) を引き起こしている、解決すべき「ネガティブな」事象や状況、ボトルネック を指します。
課題とは、
目標や理想のために、やるべきことや取り組むべきことなど、未来に向けた「ポジティブな」テーマ を指します。
いかがでしょうか。
キーワードは、問題はネガティブ、課題はポジティブ、です。
「○○ができていない」は課題ではない!
顧客から聞く「○○ができていない」や、自分の組織における「○○率が低い」など、こうしたワードはほとんどが「問題」にあたります。
正確に言えば、ひと目でパッとわかる数字の凹みは問題の手前にある「現状」であることも多いです。
例えば、
他のメンバーと比べて、受注率がかなり(●%)低い
これは問題でしょうか?課題でしょうか?
いえ、これは数字を見れば一目瞭然ですので、あくまで「現状」です。
これを「問題」と捉えることも多くあると思いますが、そうしてしまうとその後の分析が広範囲にわたってしまい難しくなるため、データで直接見えるものは「現状」とすることをおすすめします。
では何が問題なのか?といえば、このケースでは受注率を下げている事象、ボトルネックがそれにあたります。
例えば、このような感じでしょうか。
●商談相手を間違えている
●商談の内容やトークが最適ではない
●断られることに繋がる発言や行動をしている
などなど、人やケースによって "解決しなければいけないこと" はいくつかありそうですね。
まさにこれが、「解決しなければいけないネガティブな事象」、つまり問題です。
さあ、では問題がわかったのなら解決をしましょう!
・・・いや、ちょっと待ってください。
「解決すべきこと=問題」を解決するのは楽じゃない
では例えば、
会える人とばかり商談している
という問題を解決しようと思ったとしたら、どうしますか?
「ターゲットを変えて、会える人ではなく会いたい人と商談しよう」と決めたからといってすぐに実行できますかね...?
おそらく、(状況にもよりますが)それが難しいから会える人に会いに行っているはずです。
つまり、問題を裏返しても解決にはならない、ということが大半なんです。
だからこそ問題解決能力が問われるわけですね!いやー、難しい。
どうやら別の角度から考える必要がありそうです。
「問題」から「課題」は生まれない
では、上記の問題に対する課題とは何でしょうか?
例えば 「他のメンバーと比べて、商談をして断られる率がかなり(●%)高い」という問題に対する課題は「断られることを減らす」でしょうか?
はい、違いますよね。 そんなことができるのであれば苦労しませんし、何より問題にもなりませんよね!
当たり前のことをあえて言いますが、問題には必ず「原因」があります。
そしてこの「原因」を究明することが何よりも重要です。 なぜその問題が発生しているのか?なぜ解決されていないのか?を解き明かしていきましょう。
その過程で様々な要素が見つかりますが、決めつけず諦めず「最もインパクトが大きい原因」を探しに行きます。
先程上がっていた問題リストを、それぞれ原因の例に分解してみるとこの様になります。
これはあくまで一例ですが、この様に問題には必ず「原因」があり、これらは問題の大きさによって何階層か深ぼることで形が見えてきます。
このとき重要なのは、行き詰まるまで「それはなぜか?」を繰り返すことです。
ここまで来ると、一番最初に受注率が低いと言っていたときと比べてかなり対策に近づいてきた感覚が持てますね!
「原因」を解決するためのテーマが、「課題」
さあ、問題と原因が見えてきました。 となると次に必要なのは、対策や打ち手、改善策です。
ただ、ちょっとまってください。 ひとつの原因に対し、複数の打ち手が必要なケースや複数の選択肢があるケースも多くありますよね。
そこで設定するのが、「課題」です。
問題を引き起こし(続け)ている原因、これを取り払うためにテーマを掲げましょう。
つまり、順番としてはこうなります。
「現状把握」→「問題発見」→「原因究明」→「課題設定」→「対策立案/実行」
先程の例でいくつか実践してみます。
「他のメンバーと比べて、商談をして断られる率がかなり(●%)高い」のケースでは、このような原因の可能性が挙げられました。
●商談相手を間違えている
●属性ごとの分析をしておらず受注傾向がわからない
●商談の内容やトークが最適ではない
●他者との比較が出来ずに「最適」が分からず改善の打ち手が見えない
●断られることに繋がる発言や行動をしている
●自身では何がいけないのかが理解出来ていない
●商談相手を間違えている
●属性ごとの分析をしておらず受注傾向がわからない
●過去の実績からアプローチすべきターゲット属性を明確にする
●商談の内容やトークが最適ではない
●他者との比較が出来ずに「最適」が分からず改善の打ち手が見えない
●商談の可視化や型化により比較と改善のできる環境をつくる
●断られることに繋がる発言や行動をしている
●自身では何がいけないのかが理解出来ていない
●無自覚な悪癖をなくし "もったいない失注" をなくす
細かく掘り下げれば少し変わる可能性もありますが、今回はこの粒度で課題を設定してみましょう。
いかがでしょうか。
ここまでくれば、具体的な対策や打ち手が紐付けられそうですね!
問題と課題が切り分けられないと何がおこるのか?
ここで改めて、問題と課題の区別って本当に必要なの?なんで?という問いと向き合いましょう。
問題と課題が切り分けられていないと何が起こるのか。
それはズバリ、「正しい対策や打ち手が打てないから」ということです。
例えば、今回のケースにおいて「他のメンバーと比べて、受注率が低い」という問題に対し「営業の研修を受けよう(受けさせよう)」という対策が生まれてしまうわけです。
もちろんこれが間違っているとは断言できませんが、逆になぜ研修なのか?という部分にも回答出来ません。
また、なんの研修を受けるのかによっても成果が大きく変わりそうですよね。
もしこの人の受注率を下げている問題がターゲット選択にあり、その原因が分析不足だった場合、お金を掛けて研修を受けるよりも自社で受注傾向からターゲットを再定義したほうが遥かに効果的である可能性が高いからです。
まとめ:これができて初めて「感動を生む商談」ができる?
ここまで、営業パーソンの受注率に焦点を当てて進めてきました。
ただ、もうお気づきではないでしょうか?
このプロセスを外部からの客観的な視点を交えて行うのが営業、商談です。
そして、冒頭にお伝えしたとおり これを体系的に理解しているビジネスパーソンはまだ多くありません。
つまりどういうことかというと、この様に順番に整理しながら正しい課題を設定できる営業パーソンはそれだけで大きく差別化され、また相手が気づいていなかった正しい課題が設定できると感動を生みます。
要するに、この2つの違いが説明でき、体現できるということは、『感動を生む商談』ができるということとほぼ同義といっても過言ではないかもしれません。
もちろん、商談以外の問題解決全般で使っていただけるものだとは思いますが、この記事が『感動を生む商談』を増やしていくことに貢献できたら嬉しいなと思っています。